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欲と恐怖
なぜ「投資」というと、
金融メディアではいつも「欲」と「恐怖」について語られるのでしょう?
市場を動物で言い表すときによく使われるのは
貪欲な雄牛が恐怖の熊と戦っている、といった表現です。
この専門用語は、投資という非常に感情的なプロセスを表現しています。
欲は、投資目標を達成するための必要性の一面であるのは事実です。
恐怖は、投資の希望を打ち砕くような損失を避けるための一面でもあります。
「欲」と「恐怖」は、
投資の感情の全容を表しているわけではありませんが、
投資の感情の象徴なのです。
また、同時に、欲と恐怖は、
投資リスクの二面性をきちんと表しています。
実際に老後に必要なお金を増やすためには、
元手の投資の一部を失うリスクを受け入れる必要があります。
欲は、リスクを引き受ける意志を表しています。
同様に、貯蓄を維持し、老後という最終目標に到達するためには、
リスクのレベルを抑える必要があります。
恐怖心は、リスクを認識し、適切に管理しようとする意志を表します。
もちろん、欲と恐怖の間で常に揺れ動くようなストレスは避けたいものですが、
それ以上に、感情的な判断が少ない方が、
明らかに優れた投資家になれるのです。
パニックは損をする
メリルリンチの研究の中で、面白い研究結果が出ている。
対象は比較のために、パニック売りを、
株式市場が2%下落した後に売り、20日後に買い戻す投資家と定義している。
2%下がるたびに売るというのは非常に怖い方法ですが、
恐怖に負けることで長期的なリターンが大きく損なわれることを
この仮定は示しています。
その結果、ここでのパニック売りの手法は、
長期的にはインデックスよりも何倍も悪いパフォーマンスを示すことにが分かりました。
パニック売りのチャートは理論的な分析ですが、
実際の投資家のデータによって裏付けされています。
バンガードは、モーニングスター社が提供する、
ファンドの運用成績と投資家の運用成績の差を推定した情報を検討しました。
ここでもまた、投資家のパフォーマンスは
ファンドのパフォーマンスに比べ1~2.5ポイント程度遅れていると結論付けています。
投資判断の中には、
車を買うお金が必要だというような単純な理由によるものも会ったようですが、
欲と恐怖、あるいは一般的な感情によって意思決定を行うことは、
投資アプローチとしては不適切だと言うことが、この研究でわかりました。
そう!いくら下がっても、
恐怖で損切りなんて言うことがない投資銘柄を
選ぶべきであると言うことになります。
正しいマインドの利点
正しい投資マインドを持って投資をすることの明らかな利点は、
他のほとんどの(おそらく99%の)
投資家を閉じ込める強欲と恐怖の罠を避けることができることです。
この罠は、ウォーレン・バフェットの格言、
“他人が恐れているときには貪欲に、他人が貪欲なときには恐れを抱け “の
根源でもあります。
人は常に投資において何か優位に立とうとし、
インサイダー情報を元にした取引など違法なことまでしています。
投資を競争原理で考えるのが好きなら、
正しい投資のマインドとは、
大多数の投資競争相手に対して、
容易にアクセスできる優位性を私たちに与えてくれるのです。
感情をうまくコントロールすることで、
少なくとも「感情的知性」という点では、
他の投資家より賢くなることが出来ますよね。
他の投資家が非合理的にリスクを回避しているとき、
あるいは無謀にリスクを取っているときに、
それを認識することができるようになるのです。
正しい投資マインドの必要性を
ご理解いただけたとしたら嬉しいです。